・雲を見るほかなく角の伐られけり(岩田 奎)
・秋晴の運動会をしてゐるよ(富安風生)
・虫の夜の星空に浮く地球かな(大峯あきら)
・十月のやたらさみしい雨の朝(中内亮玄)
・空は太初の青さ妻より林檎うく(中村草田男)
・青空のしんとありけり唐辛子(行方克巳)
・蛇笏忌の空屈強の山ばかり(飯田龍太)
・空くるり吸はれて菊に奥のある(宮﨑莉々香)
・いくたびも風がとほりて茱萸のいろ 細川加賀
*『生身魂』(1980年、東京美術)より
加賀(1924-89)は東京生まれの俳人。石田波郷の『鶴』に参加。『初蝶』を創刊、主宰しました。
2022/10/09
◆ 🌸秋の雲ふわり流れて湾(うみ)青し
◆ 🌸背を伸ばし歩いてみたり秋の日に
◆ 歌うため舞台中央へ歩く夢
10/1(土)8月から目標にしていた鎌倉の庭の訪問達成!
◆ (鎌倉の)わが庭にやさしく咲くや金木犀
◆ 木犀のその金色の花やさし
◆ 木犀のかそけき香り吸い込みぬ
◆ 木犀よ秋には香れ我なくも (あれ?縁起悪い?)
◆ 枝折りて部屋に木犀の香を惜しむ
母の留守木犀の香に眠りけり (飯島みさ子)
「病床」の前書きがあります。母がいない寂しい家で、木犀の甘い香りに癒されて眠ります。病弱で四肢が不自由なみさ子は13歳で始めた俳句を心の糧として生き、大正12年、24歳で亡くなりました。(季語=木犀)
林檎の木ゆさぶりやまず逢いたきとき (寺山修司)
逢いたくても逢えない、そんなとき、激しく鬱屈した思いを林檎の木にぶつけます。青森高校時代の、みずみずしい青春の一句です。(季語=林檎)
◆ キリンオカピのんびりエサ食む秋の午後
◆ 秋晴れの動物園内歩行練習
◆ 山の端の斜面色づき土湿る
◆ 湿る土に足を取られて散歩かな
◆ 走る子らのそばをとぼとぼ老婆ゆく
◆ All in all I enjoyed that beautiful day!
◆ 🌸Even in a wheelchair I felt joy and happiness on that autumn day
静けさのあつまつてゐる式部の実 (大岳水一路)
紫式部の、澄んだ紫の美しい実。しんと静かな晩秋の空気のなか、そこが静けさの中心のように感じられるのです。(季語=式部の実)
11/8 穏やかな秋の日、BGM付きのYouTubeチャンネルで秋を楽しむ
◆ 行く秋を今年はTVのスクリーンで見る
◆ 鮮やかに紅葉色変え秋は行く
◆ 緩やかに秋は深まり去りゆきぬ (まだ、だけど!)
こもれびにて 11/10
◆ 窓越しに木漏れ日受けて湯に入る
◆ 山裾の斜面にこもれび光る秋
こもれびに通う片吹あたりのイチョウが金色に輝き、やがて落ち葉の絨毯になっている。11/30
◆ 秋の朝銀杏並木をデイケアへ
◆ 🌸”また明日”友と手を振る秋の暮
◆ 金色の銀杏の落ち葉踏みしめん
◆ 秋の日は湾(うみ)もゆっくり暮れてゆく
星空へ微光それぞれ冬木の芽 (倉橋羊村)
固い鱗片でおおわれ、春に萌えだすための力を蓄えている冬木の芽。小さな木の芽たちは、星空に向かって、やわらかな、かすかな光を放っているようです。(季語=冬木の芽)
枯野原汽車に化けたる狸あり 夏目漱石
今日は漱石忌。昨日は枯れ野に野球のベースを置く話だったが、漱石は枯れ野を走る汽車をタヌキが化けている、と思ったらしい。この汽車は枯れ野のかなたを走っていて、タヌキほどに小さく見えるのだろう。そういえば、名作「坊っちゃん」に登場する中学校の校長はタヌキ(坊っちゃんがつけたあだ名)、土地の汽車はマッチ箱みたいに小さい。<坪内稔典>
食べて寝ていつか死ぬ象冬青空 (神野紗希)
ぷおーんと長い鼻を伸ばして餌を食べ、お腹がいっぱいになれば寝て、気持ちよさそうな象。いきものは、生まれて、生きて、そしていつか死んでゆくのです。きれいな冬の青空が広がっています。(季語=冬空)
・地下鉄に息つぎありぬ冬銀河(小嶋洋子)
・一本の冬木をめがけ夜の明くる(望月 周)
・冬麗のたれにも逢はぬところまで(黒田杏子)
・ことごとく未踏なりけり冬の星(髙柳克弘)
12/14 こもれびへの通所の道では、銀杏の黄色い葉が風に吹かれている。
- ◆ 冬空に銀杏の枯葉光りおり
- ◆ 冬空にイチョウの枯葉走りおり
- ◆ 冬空や銀杏の黄葉の寂しけり
12/16(金) 冬が少しずつ深くなる。
◆ 浴槽に冬の陽まぶし目を閉じぬ(daycareにて)
◆ 車中から銀杏photo撮る冬の朝(daycareへ向かう車中)
どうしても、銀杏の枯葉を撮りたいと、スタッフに頼んで車中からカメラを構えた。わがままを聞いて、並木道をゆっくり走ってくれたドライバーさんと介護士さんに感謝!
滅ぶもの不滅なるもの冬の雲 (戸松九里)
冬空に生まれた雲が、少しずつ形を変えて流れていきます。絶えず変わり続ける雲を見上げながら、やがて滅んでゆくもの、そして決してなくならないものに思いを馳せます。(季語=冬の雲)
12/21(水) At Komorebi <冬至>
◆ 湯に浮かぶ柚の実左手で握ってみる
◆ 🌸あの日からはや1年の冬至かな
12/28 こもれびDaycare最終日
しやこばさぼてん撩乱と垂れ年暮るる (富安風生)
蝦蛄(しゃこ)がつながったような形で垂れ下がる 蝦蛄葉仙人掌(しゃこばさぼてん)。クリスマスカクタスともいわれ、可憐な赤い花が入り乱れ、咲き乱れます。今年も、もう終わろうとしています。(季語=しゃこばさぼてん)
◆ 年の瀬の晴れたる午後のひとときはパウル・リンケ(PAUL LINCKE) 「ベルリンの風」
◆ ゆく年をベルリン・フィル聴き惜しむかな