菫程な小さき人に生れたし (夏目漱石)
目立たずひっそりと咲く小さな菫のように、権威や権力にこだわらず無心に清らかに。そんな生き方をしたいのです。明治30年作。漱石が熱心に作句に励み、生涯の約2400句の内、約1000句を詠んだ熊本時代の作品です。(季語=菫)
どの道も家路とおもふげんげかな(田中裕明)
一般に蓮華、蓮華草と呼ばれる紫雲英(げんげ)の花。春の野や田んぼに咲きあふれて、紅色に彩ります。紫雲英の咲く道はどの道も、幼い頃の家路へとつながっているようになつかしく感じられるます。(季語=げんげ)
花あれば西行の日とおもふべし (角川源義)
「願はくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月のころ」と願い、その通りに没した西行。桜が咲けば西行の日と思えと詠み、西行への憧憬とともに自らの死への覚悟と願望が伝わる、源義の代表作です。(季語=花)
春蘭や雨をふくみてうすみどり (杉田久女)
山中に春蘭が咲いています。春蘭は東洋蘭の仲間で、昔からその清らかな姿を愛されてきました。しっとりと雨に濡れ薄緑色に透ける花の美しさ。平仮名の表現が、花の命のふくらみとやわらかさを感じさせます。(季語=春蘭)
◇ 春霞 わがこころなる春の原景
春霞のはっきりした記憶はない。でも、まだ小さいときに山に分け入り見た風景、山野草が顔を出し始める頃の生暖かい風、それらは春のかすみの彼方にあるような気がする。<辛夷を追いかけた日の思い出を語ったら仏人の友人にも通じたので驚いた。>(2021/3/21)
◇ 手に取ればかそけき香りヤマザクラ
ソメイヨシノは美しいが一番好きなのはサトザクラ。大島桜も緑の葉っぱとの対比が美しい。花も葉もきれいだけど一番好きなのはその芳香。そこはかとない、でも息をつめて吸い込んでみたい良い香り。いつまでも離れがたい。(2021/3/22)
◇ 鎌倉や松葉谷なる利休梅 (Akemi)
♧ 鎌倉や寺を廻れば花いかだ(Simon)
♧ 浄妙寺竹林の中静かかな(原文のママ、Simon)
前回に続き鎌倉五山巡りに出かけた。サクラの季節、花海棠、花桃、ミツバツツジ、利休梅、シャガ、ムラサキハナナなど、色とりどりの花に出会えた。時々立ち止まり、無理やり”俳句”を作ると、あとで楽しい!!(3/31)
便所より青空見えて啄木忌(寺山修司)
便所という、狭く暗い場所から見上げる、明るく輝くはるかな青空。困窮の中で希望を求めた石川啄木の思いと響き合います。早熟の天才、寺山修司の代表作のひとつ。十代のフレッシュな感覚が溢れます。(季語=啄木忌)
◇ 春ゆかしMari九段中エンジのりぼん
孫のMariが3年の頑張りの末に予想外の成果をあげ、背が伸びたのよりももっと嬉しい九段中高等教育学校への入学を果たした。Mariのその晴れやかな表情はなにものにも代えがたい若い人だけに与えられる輝きだ。その美しいこと!見るたびに喜びで胸がいっぱいになる。(4/23)
◇ ランチカフェ川辺の緑に”Blue Skies” (Noah and the whale)
But, blue skies are calling, oh, yeah, blue skies arecalling スタバのOutside tableでランチしてたら聞こえてきた!そのとき自分の年齢を忘れさせる不思議な幸福感があった。まるで外国にでもいるような・・・。ふとした時間がかけがえのない大切なものに思えた。
◇ ひとりいるカフェの向こうの空あおし ◇ スタバテラス川辺にそよぐ高き緑木
なんといういいタイミングで!