YCUエクステンション講座:この2年間はずっと「歌で聴くドイツの歴史」。最初はシューベルトの「冬の旅」だった。 2016年春季講座はベートーベンの生きた時代と、その作品。
今日は彼の晩年の大作「第九」(1824年)の成り立ちとその音楽を通して彼が人々(それも今後何百年も先までの・・・)へどうしても伝えなければならなかったことについての話だった。第九は(小学生の頃から!)ずっと聴いてきたし、もう知っていると思っていた。でも今日は「全く知らなかった」ことを知った。
合唱付きの第4楽章では、それまでの第1,2,3楽章とのつながりの中から、その時代を踏み越えて「すべての人々は兄弟となる」と高らかに宣言する。
”未解決の和声”のすごさにも気づいた。そして、その先にベートーベンの伝えたかった「神の恩寵で理想が遂げられるわけではない。すべての人が兄弟となり(シラー)未解決の平等な未来を我々が闘って勝ちとるしかない」の思いがあり、その思いが強く込められているからこそ、この音楽が私たちの心を今もとらえて離さないのだ。ベートーベンは真に偉大だ!
An die Freude 「兄弟たちよ、自らの道を進め / 英雄のように喜ばしく勝利を目指せ」
Laufet, Bruder, eure Bahn, Freudig, wie ein Held zum Siegen Seid umschlungen, Millionen! Diesen Kus der ganzen Welt! Bruder, uber’m Sternenzelt Mus ein lieber Vater wohnen. Ihr sturzt nieder, Millionen? Ahnest du den Schopfer, Welt? Such’ ihn uber’m Sternenzelt! Uber Sternen mus er wohnen. フリードリヒ・フォン・シラーによる本 手書きの楽譜
ドイツ語はもうすっかり忘れたけど、2年間やっていると少しずつ目でも追えるようになるし、意味もわかるところが出てくるのが面白い。
Ian Bostridgeに会えたのも、白井光子の歌声に会えたのもここから。
シラーの詩とベートベンが追加した詩の対訳: こちら
ベートーベンの手書き楽譜と1989年東ベルリンでのバーンスタインの演奏に関する(と思われる)ドイツ語解説: こちら (この時の演奏ではAn die Freude の代りに An die Freiheit と歌われたことで知られる。)
神奈川フィル遠山奈緒美さんによる作品の意味紹介: こちら
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