2009年8月16日日曜日
「差別と日本人」
by 野中広務+辛淑玉
ベストセラーとなって、書店の目立つ場所に積み上げてあるこの本は、
今日の若者が感じる将来への不安がいったいどこにそのルーツがあるのか、
あるいは同じように悩んでいる人がいたのか、今もいるのか、
そんな今日的問いかけに応えるように出版され、
それに対し、個別具体的に、それなりに掘り下げた分析をもって
誠実に答えているからだと思う。
分析そのものについては、感情的・情緒的なものが多く、異論があるが、
差別を身をもって乗り越えてきた人にしか見えない視点が随所に示されている。
それが驚きであり、この本に真実の力を与えている。
差別の複層的発現についても初めて気づかされたことが多かった。
今の多くの自民党などの政治家がいかに薄っぺらな存在か、
そのことへ警鐘を鳴らしたい、それもこの二人の切なる願いだったに違いない。
このような出版物を世に出すにあたっての著者たちの葛藤を思い、 少なくともその勇気に応えられる読者でありたいと思う。
2012-05-13
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